目を奪われる、円覚寺の門の下から見る紅葉

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ここは北鎌倉駅の目の前にある円覚寺だ。私が訪れると、すでにカメラマンが多く集まっていた。そんなときだった。

「あっちから見ると綺麗だぞ」

地元のおじいさんからふいに声をかけられた。私が撮影をしていたときのことだ。どうもベストショットが取れる場所があるらしい。おじいさんは軽快な調子でこう言った。

「上の門のほうにのぼって、階段上から下のほうをとるんだ。」

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門とは階段を登ったところにある最初の門のことだ。拝観料を払う直前の門。

「ここで来た方向の階段のほうを見るんだ」

すぐそっちの方向に目をやる。そうすると現れたのは、

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鮮やかな太陽の光が、紅葉を照らす異空間だった。絶景という言葉がチープに感じるほど、ここからの景色は私の目を奪った。

「ここいいですね。」

私はおじいさんにそういった。おじいさんは少し照れた感じで「そうだろ。」と呟いた。2人とも、目は景色を追っていた。

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「あと、何回、この紅葉が見れるんだろうな。」

おじいさんは呟いた。私は「いやいや」と慌て気味に言った。「ご健康でいらっしゃるじゃないですか。」

「そうじゃなくてね、」おじいさんはそう少しだけうつむいて話すと、またしっかりと景色を見た。

「どんな人間でも、この景色が1年にこの季節しか見ることが出来ないんだ。つまり、限られているんだよ。赤ん坊であっても私であってもそれは一緒なんだ。」

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鎌倉はそろそろその美しさをまた几帳面に1年後に届けるための準備期間に入る。つまり、冬が来る。もうすぐ紅葉は枯れる。

私はシャッター音を3回鳴らし、こう言った。

「また、来年、ここで会えるといいですね。」

おじいさんは少し微笑んだ。